光ヘテロダイン干渉法

光ヘテロダイン干渉法

[ヘテロダイン干渉]
周波数がわずかに異なる2つの波を重ね合わせると,その周波数の差に等しい「うなり(ビート)」が観測できる。この「ビート」から必要な情報を取り出すことをヘテロダイン法という。 「干渉」とは,二つの光を重ね合わせることをいう。

「光ヘテロダイン干渉法」の特徴
(1)ロックインアンプ等を用いて信号検出をすると,高精度,高感度の測定が可能。
(2)「位相情報」は,信号光の強度変動(ノイズ)に影響されない。
(3)参照光の周波数に等しい信号成分の情報を取り出すことができる。
(4)参照光の強度を大きくすることで,微弱な信号の検出が可能になる。

光ヘテロダイン干渉法の原理:

参照光と信号光の電場成分をそれぞれEr,Esとし,次のように表す。
 Er = ar cos(2π fr t + φr)          (1)
 Es = as cos(2π fs t + φs)          (2)
ここで,ar,asはそれぞれ参照光,信号光の振幅を意味する。fr, fs,φr,φsはそれぞれ周波数および位相を表す。この二つの光を重ね合わせると,検出される光強度I は次のようになる。
 I = <|Er +Es|2>
  =(ar 2 + as 2)/2 + 2 ar as cos[2π(fr -fs) t + (φrs)]
  =(ar 2 + as 2)/2 + 2 ar as cos[2π fb t + Δ]        (3)
ここで,< >は時間平均を表す。fb = fr -fsは「光ビート周波数」,Δ= φrsは「位相差」を意味する。
 光検出器で検出される光電流成分は,(3)式の第1項(ar 2 + as 2)/2が直流成分となり,第2項が周波数fbの交流成分となる。光ヘテロダイン干渉法は,光ビート信号の振幅(2 ar as ),周波数( fb ),および位相(Δ)を電気的に計測し,光信号の振幅( as ),周波数(fs ),および位相( φs )に含まれる情報を取り出す方法である。


脚注
干渉:ヘテロダインラジオの場合,信号をFFTのG,局発信号をFFTのSに入れることでミックスしたが,光の場合は,2つの信号を2つのスリットを通して入れればよい。